「社会参加を焦ってはならない」

ひきこもりやニート状態にある人を支援する方のお話を伺っていると、ときどき聞く言葉の一つが「社会参加を焦ってはならない」です。

しばらく働いていなかった人が、急に働き出そうと気がはやっても、無理が出て逆戻りしてしまうことも少なくない、場合によっては、以前ひきこもっていた状態よりもさらに悪い状態になってしまうことがある、どうもそういうことのようです。

ずいぶん前にテレビ番組で見たところでは、就労上の25歳の壁から焦っているというひきこもり相談者に対し、斉藤環氏が、まずはひきこもり当事者の集まりのような場所に参加して対人関係に慣れることが必要と答えていました(おぼろげな記憶ですが)。斉藤氏は最近でも、「いきなり海や川に泳ぎ出す前に、まずは安全なプールで十分に練習を重ねる」という比喩を用い、当事者グループへの参加の必要性を述べています(斉藤, 2009)。

もう一つ、最近ある方に伺った話では、ひきこもり、ニートの人の中には、(広義の)精神疾患にかかっている人も少なくなく、こうした人は、まずは先に医療機関を受診するなりした方が早道の場合が多いとのことでした。

ただ、現実問題として、履歴書の空白期間が長引くほど、社会参加の可能性が小さくなります。「焦るな」と言われても、5年も10年も待つことはできません。ひきこもり、ニートの人の中に焦る人が少なくないのも、そのためでしょう。また、何らかの事情で(例。経済的事情)、どうしても社会参加に時間をかけることができない人もいるだろうと思います。実は、一気に社会参加への道を踏み出して、意外に成功する可能性だってなきにしもあらずではないかと私などは思っています(実際、そうした例を知っています)。「焦るな」と言っても、そのあたりの兼ね合いをどうとるのか、このあたりのところを私は考えることがあります。

いずれにせよ、焦ってはならないというのが原則だそうです。ただ、当事者の人が「焦る気持ちがある」と話していると、私は「焦らない方がいいみたいだよ」などと指示的なことは言わず、「そうだよね、焦るよね」などと共感の姿勢を示すようにしています。

[文献]

◇ 斉藤環(2009)「医療機関におけるひきこもりのグループ活動」『思春期のひきこもりをもたらす精神科疾患の実態把握と精神医学的治療・援助システムの構築に関する研究』(pp. 297-298).厚生労働省科学研究費補助金こころの健康科学研究事業平成20年度総括・分担研究報告書.

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