働く自信がないだけか、それとも本当に働く能力がないのか

ひきこもりの若者の中には、働く自信を失っている者も多いという話を聞くことがあります。

私は常々疑問に思っていたのですが、働く自信がある・ないという問題を考える場合、実際に働く能力がある・ないという問題も、併せて分けて考えた方がよいのではないでしょうか。

本人は働く自信がないと思っているのに、本当は働く能力があるという場合、本人の思いというか認識というか、そうしたものと現実の間にギャップがあるということになります。この場合、そのギャップを埋めることが、ひきこもり者が働くことができるようになるのに助けになるのではないかと思います。

しかし、本当に働く能力がなくて自信を喪失しているという場合、これは働く能力を付与しなければ問題は解決できません。

実際はどちらなのでしょうか。一つの手がかりになるのが、原田豊氏らによる、全国のハローワーク等の就労相談・支援機関を対象としたアンケート調査です(原田, 2009)。この調査によると、回答を得た499機関(回答率 62,5%)のうち、303機関(60.7%)が、ひきこもりの就労相談を受けて困ることがあると回答しているのですが、その困ることとの具体例として最も多かったのが、「本人に充分な就労能力がなく相談が進まない」(226機関)でした。もっとも、こう回答した機関は、本人に就労能力がないことにいつも困っているのか、ときどき困ることがあるのか、稀に困ることがあるのか、どういった意味合いで回答したのかは私には分かりません。

もし、就労以前の問題を抱えているひきこもり者が多いのであれば、こうした人に「とにかく働け」と就労への背中を押すだけでは解決できないので、いわゆるひきこもり支援、例えば精神疾患の治療や発達障害への支援とか、デイケアや職業体験とか、そうしたことも大きな意味を持ってくるのかな、と思えてきます。もっとも、それが、政府が主導して行うべきか、それとも民間の創意工夫にゆだねるべきかは、私には分かりませんが。

なお、ひきこもり者は、もともと就労能力がないからひきこもりになったのか、それとも、ひきこもってから就労能力をなくしたのか、どちらかは私には分かりません。

[おまけ]

ニート、ひきこもりなどの自立支援を盛り込んだ青少年総合対策推進法案が、修正の上、衆議院青少年問題特別委員会で、前回一致で可決されました(18日)。今国会中に成立するでしょう。修正後は、名称が「子ども・若者育成支援推進法案」と変更されています。青少年問題特別委員会での審議の模様は、「衆議院TV」のウェブサイトで見ることができます。いずれ、会議録もウェブ上で公開されるでしょう。

衆議院TV
(新しいウィンドウで開く)

[文献]

◇ 原田豊, 川口栄, 大塚月子. (2009)「ひきこもり青年の就労支援に関する研究」『思春期のひきこもりをもたらす精神科疾患の実態把握と精神医学的治療・援助システムの構築に関する研究』(pp. 137-159). 厚生労働省科学研究費補助金こころの健康科学研究事業平成20年度総括・分担研究報告書.

スポンサーリンク

トラックバック

URL :

最近の記事
カテゴリー
カレンダー(月別)
10 ≪│2017/11│≫ 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
RSSフィード
本など
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
心と身体
149位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
11位
アクセスランキングを見る>>
リンク
このサイトについて

このサイトはリンクフリーです。張るのも剥がすのもご自由になさってください。相互リンクは現在募集しておりません。

携帯用アドレスを取得されたい方は、「こちら」をクリックしてください。

このブログのリンク先のご利用につきましては、ご自身の責任のもとでお願いします。なお、本等のリンクについては、Amazon.co.jpのアフィリエイトプログラムを導入しています。

なお、「富条」はハンドルネームです。本名は全く違う名前です。

メールは nhjournal77@yahoo.co.jp まで。