精保センターの引きこもり相談延べ人員(H29年度)

引きこもりの相談機関の一つに、精神保健福祉センターがあります。
精神保健福祉センターは、各都道府県と政令指定都市に設置されている公的機関です。

その相談の延べ人員が、厚生労働省の「衛生行政報告例」に毎年報告されています。
この度、平成29年度の延べ人員が報告されましたので、過去10年の数字と合わせて見てみたいと思います。

なお、ここで集計された引きこもりとは、「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態にある7歳から49歳までの者」です。

全国の数字


平成29年度 23,404人(18.3%)
平成28年度 21,991人(16.1%)
平成27年度 23,366人(16.2%)
平成26年度 23,838人(16.2%)
平成25年度 21,482人(14.4%)
平成24年度 16,679人(11.5%)
平成23年度 17,103人(13.2%)
平成22年度 16,905人(8.0%)
平成21年度 16,715人(7.9%)
平成20年度 15,729人(7.7%)

※ ()内のパーセント表示は、全ての相談に占める引きこもり相談の割合です(延べ人員の割合です)。

平成25年度に2万人の大台に乗って以来、高止まりしています。
平成28年度にはやや減少したのですが、平成29年度に再び増加し、以前の水準に戻りました。

引きこもり相談延べ人員の割合はここ3年ほぼ一定していましたが、平成29年度には過去最高の18.3%に達しています。


各精神保健福祉センター別の数字


それから、各精神保健福祉センター別の数字も出ています。特に多い都道府県や政令市を10件挙げてみます。

大阪府 2,954人(2,979人)
埼玉県 2,376人(1,797人)
岡山県 1,870人(1,368人)
静岡県 1,413人(1,590人)
滋賀県 1,108人(1,258人)
鳥取県  894人(768人)


堺市    2,918人(2,928人)
さいたま市 1,795人(1,234人)
浜松市   1,351人(1,505人)
岡山市   1,081人(747人)


※ 平成29年度の数字です。()内は、その前年度。

実は5年前にもこのブログでこの数字をお示ししたのですが、その時と上位の顔ぶれは概ね変わりません。
ただ、埼玉県とさいたま市、岡山県と岡山市では、数字が大きく増加しています。
このうち岡山県では、平成29年度より精神保健福祉センター内にひきこもり地域支援センターが開設されたそうで、もしかしたらそのことが増加と関係しているかもしれませんが、定かではありません。

引きこもり相談延べ人員は、精神保健福祉センターによって差が大きいです。
例えば、福島県などでは2人、横浜市などでは1人、さらに、奈良県、神戸市、北九州市にいたっては0人です。
精神保健福祉センターだけが引きこもりの相談機関ではありませんし、自治体によって専門機関ごとの役割分担が異なるのかもしれません。


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サポステ事業の変遷

サポステの目標や志向性の変遷


ニート等の若者を支援する全国施設「地域若者サポートステーション」(サポステ)の変遷を整理した研究論文を見つけました。

↓ 「つくばリポジトリ」へのリンクです。PDF。1.21MB。
小山田建太 (2017). 社会資源としての地域若者サポートステーションの検討-事業の変遷に見るワークフェアの理念-. 筑波大学教育学系論集. 41(2), 63-75.
新しいウィンドウで開く

※ PDFを閲覧するには Adobe Reader が必要です。こちら新しいウィンドウで開く)からダウンロードできます。

サポステ事業の実施要綱から、その目標や志向性の変遷に注目しています。こうした変遷には「ワークフェア」の様相が顕在化しつつあると著者は指摘しています。

ワークフェアとは、「社会から排除された人々に対し、教育や訓練を通じて雇用可能性や社会参加可能性を高めることで、包摂を図ろうとする政策理念」のことだそうです(仁平, 2015, p176)。ワークフェアというと、教育や訓練を受ければ給付を行なうものというのが私の理解ですが、サポステは給付までは行なっていません。

変わるサポステ


「まとめと考察」に見える著者の主張には賛否もあるかもしれませんが、サポステの移り変わりが分かる論文で、勉強になります。現在のサポステが目指すところは、私が通っていた頃とはやはり違っているようです。

今は、雇用保険被保険者資格を取得し得る就職者数が目標とされています。昔は進学や職業訓練、もっと短期の労働も目標に含めていました。

「生活保護リスクの未然防止」「自立支援」


論文によると、サポステの2015年度(平成27年度)実施要綱には「これら若年無業者等の就労を支援することは、(中略)将来生活保護に陥るリスクを未然に防止し、経済的に自立させ……」とあるそうです。なるほど、ワークフェア的かもしれません。独自に調べたところ、私が確認できた範囲では最も新しい2016年度版も同様でした(平成28年度地域若者サポートステーション事業実施要綱, n.d.)。

「生活保護リスクの未然防止」「自立支援」といえば、2015年度に始まった生活困窮者自立支援制度も、まさにそうです。生活困窮者自立支援制度は引きこもり者も対象に含めています。これもワークフェアなのか、それとも「アクティベーション」なのかは分からないのですが、上のサポステの話と通じるものがあるようにも思えます。

↓ 「ワークフェア」と似た概念に「アクティベーション」があります。以下のリンクでは、その違いが明快に説明されています。社会福祉士の方のブログへのリンクです。
◇ ワークフェア/アクティベーション (新しいウィンドウで開く

関連ページ


↓ 厚生労働省ホームページへのリンク。PDF。1.86MB。
◇ 生活困窮者自立支援制度について (新しいウィンドウで開く

文献


◇ 仁平典宏 (2015). 〈教育〉化する社会保障と社会的排除. 教育社会学研究. 96, 175-196.
◇ 平成28年度地域若者サポートステーション事業実施要綱 (n.d.). http://kanagawa-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0116/4674/201683194718.pdf 最終アクセス2017年5月12日.

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サポステは写真好き?

サポステに写真撮られた


ニート支援者に写真を撮られ、ホームページに掲載されたことがあります。

私がニート等の自立を支援する全国施設「地域若者サポートステーション」(サポステ)に通っていたときのことです。就労支援プログラムを受けている最中、パシャッとやられました。けっこう何度も撮られ、その写真の一部は、ホームページや関係者などを対象とした資料に使われました。

掲載の際はもちろん本人が誰かが分からないように加工されるわけですが、できれば撮ってほしくないなと思ったものです。最近私はこのサポステには通っていないので、現在でもこのようなことが行なわれているかは分かりません。

サポステのHPやブログ、写真が多いような


サポステのホームページやブログを見ると、写真が多いと感じます。施設の写真はもちろん、場合によってはスタッフ、そして利用者の写真まで掲載されていることがあります(サポステとは無関係の、市販の写真素材が利用されている場合も多いです)。

もっとも、全国およそ160箇所あるサポステは施設によって差があり、写真の取り扱いも、多いところもあれば少ないところもあって様々です。ただ、サポステと利用者層が重なると思われる「精神保健福祉センター」や、同センターに設置されることが多い「ひきこもり地域支援センター」のホームページと比べると、全体的に写真が多いです。

サポステ利用を考えている人の不安をやわらげるか、いや逆か


最近ふと思ったのですが、こうした写真が公開されることは、サポステの利用を考えている人にとっては、不安をやわらげる材料になるかもしれません。ステレオタイプなイメージかもしれませんが、特にサポステを利用するようなニート、ひきこもりの人たちは社交不安のような傾向がある人が少なくないような気がします。こうした不安の強い人にとって、事前に写真で支援を受けるイメージがつかめるというのは、不安を若干やわらげ、一歩踏み出すためのプラスの材料になるかもしれません。

そう考えると、私が写真を撮られ、ホームページに掲載されたのは、悪いことばかりでもないように思えてきます。

もっとも、サポステによっては利用者の写真を加工してブログなどに載せる場合があり、そうしたサポステだと、サポステに入ったら写真を撮られるかもしれないという別の不安は生まれるかもしれません。どちらがよいのでしょうか。

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