勉強も仕事もしていないという、天才的ハッカー

ルイス・アイヴァン・クエンデさん


ニニ(NiNi) は、勉強も仕事もしていない若者のことです。
"ni estudio, ni trabajo" の略で、スペイン語圏で使われている言葉です。
日本で言うニートに近いかもしれません。
前回お話しました

特に、スペインのニニについて調べていたところ、気になることがありました。
ルイス・アイヴァン・クエンデ(Luis Ivan Cuende)さんという若者の記事が、何件も見つかったのです。
自らをニニであるとしたこの青年は、天才的ハッカーなのだそうです。

[ルイスさんの実績(一部)]

○ AsturixというOSを開発し、12歳で起業
○ 18歳未満のヨーロッパ最高のハッカーに選ばれる(2012年)
○ Aragonという仮想通貨を始める(2018年)

思いっきり仕事してるやん!どこがニニやねん!という素朴な疑問が沸いてきます。
このあたりは、調査不足でよく分かりません。


「学校が、仕事が若者のニーズに合っていない」


ただ、ルイスさんは高校は卒業していないそうです(単位は全て取得)。
そして、現在のスペインの学校教育制度について、教師が専制的であると批判。
ニニは多くの場合、学校教育が彼ら彼女らのニーズに合っていないものであり、同様のことが仕事についても起こっているとルイスは主張しました(少し前の話であり、現在もそのような主張をしているかは分かりません)。

2014年に出した著書 Tengo 18 años y ni estudio ni trabajo : ¡monto empresas y vivo haciendo lo que me gusta! は、Googleの機械翻訳を参考にすると、『僕は18歳で、勉強も仕事もしない:沢山の会社を経営していて、好きなことをして生きている!』ぐらいの意味ではないかと思います(私はまだ読んでいません)。

ルイスさんは、ご自分がなさっていることを仕事とは考えていないだけなのかもしれません。
教育制度や労働市場が若者のニーズに合わないからニニが生まれるという考え方は、ルイスさんのような成功者が主張するから説得力があるのでしょう。
仮に、私のような者が同様の主張をしても、「自分の不出来を社会のせいにするな」と叱られて終わりです。
ルイスさんは、現在のスペインの教育制度への代替案を示していますし、モデルになりそうな他国の教育制度もご存じで、その主張はしっかりしています。




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NiNi(ニニ) / NiNis(ニニス)

ニニとは何か


「日本の『ひきこもり』とコスタリカの『ニニ』」

日本大使館とコスタリカ日本語教師会は、5月20日(日)、国立ナショナル大学、コスタリカ青年評議会の協力のもと「第17回日本語弁論大会」を開催しました。
その【弁論(長)】部門で優勝に輝いたのが、上記のスピーチだそうです。

↓ 情報源。在コスタリカ日本国大使館ホームページへのリンクです。
◇ 第17回日本語弁論大会を開催しました! : 在コスタリカ日本国大使館
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「ひきこもり」と対比される「ニニ」とは何なのでしょうか。
少し調べてみました。

スペイン語で、勉強もしていなければ、仕事もしていない若者


まず、ニニ (NiNi) はスペイン語です。
複数形でニニス (NiNis) と呼ぶこともあります。

これは、"ni estudio, ni trabajo" の略です。
勉強もしていなければ、仕事もしていないという意味です。
そうした状態にある若者に対して使われる言葉です。
ひきこもりというより、ニート (NEET) に近いようにも私には思えます。

スペイン語圏の国は多い


スペイン語の母語話者は世界的に多く、スペイン語は世界三大言語の一つとも言われます。
ニニにしても、スペイン語圏の様々な国で使われていても不思議ではありません。
そこで、私がインターネットで見つけたスペイン語圏で書かれたニニに関する主な情報を挙げてみました。

スペイン


◇ En España hay 700.000 ninis: uno de cada seis menores de 25 años ni estudia ni trabaja (新しいウィンドウで開く
◇ León pone coto al ‘ni estudio ni trabajo’  (新しいウィンドウで開く
◇ Luis Cuende, el "nini" asturiano que captó 25 millones de dólares (新しいウィンドウで開く

メキシコ


◇ Preocupa a Elena Poniatowska la generación de los ninis (新しいウィンドウで開く
◇ México, un país de ‘ninis’ (新しいウィンドウで開く
◇ Integran oferta educativa y laboral para 'Ninis' en NL (新しいウィンドウで開く

エルサルバドル


◇ La migración y los llamados NINI
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ホンジュラス


◇ 640000 mujeres no tienen ni estudio ni trabajo en Honduras
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コスタリカ


◇ The Marginalized NiNi Generation in Costa Rica
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ボリビア


◇ De ninis, ninininos y ninaninas
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パラグアイ


◇ Ni estudio ni trabajo
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ざっと調べただけでも、これだけ!
ただし、それぞれの国で、ニニという言葉がどの程度一般的かは分かりません。
コスタリカではどうなのでしょうか。

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Fruges consumere nati

ホラティウスの詩より


「生まれついての無為徒食」
以前お話した『有閑階級の理論』の和訳書に、こんな強烈な成句がありました(Veblen, 2016, p.386)。
古代ローマの詩人ホラティウスが著した『書簡詩』の一節だそうです(1巻2篇27行)。
ラテン語の "Fruges consumere nati" の訳だそうです。

本当にこの訳が適切なのか裏を取ろうと、『書簡詩』の和訳書を手にとってみました。
すると、その本には違う訳が載っていました(Flaccus, 2017, p.23)。
「地の実りを消費するために生まれました」

さあ、どちらの訳がより適切なのでしょう。
私はラテン語はさっぱりで、判断がつきません。
それぞれの単語の意味を調べたところ、よく分からないのですが、
Fruges:地の実り
consumere:消費する?
nati:生まれた?(英語の nativeの語源?)

が大体の意味のようです。

「地の実りを消費するために生まれました」がどちらかと言えば直訳で、「生まれついての無為徒食」が意訳なのだろうかと思いますが、自信がありません。
地の実りを消費するという語句なら原文に確認できますが、無為徒食に相当する語句は原文にはありませんので。


フランクリンも引用


ところで、"Fruges consumere nati" でネット検索すると、海外のページが多くヒットします。
海外では多少知られている成句なのかもしれません。

この成句の引用例として代表的なのは、ベンジャミン・フランクリンの「アメリカへ移住しようとする人々への情報」のようです(Flanklin, 1784)。
フランクリンはこの成句を "born Merely to eat up the corn" と訳しています。
「ただ穀物を食べ尽くすために生まれる」といったところでしょうか。

この成句を引用して、フランクリンは
... doing nothing of value, but living idly on the Labour of others, mere fruges consumere nati, ...

... 価値のあることは何もしないが、他人の労働に依存して怠惰に生き、ただ「穀物を食べ尽くすために生まれ」……

などと書いています。
やはり、無為徒食との絡みで使われやすい成句なのかなあと考えてしまいます。






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